【読学11】会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント 石原正博著~経営改革、イノベーションを実施しようとしているリーダーが読むべき本
現在、会社全体の評価制度から組織マネジメントを検討している身から、その日の会議終了後に本屋へ行きました。
目に飛び込んできたのが本書「全体最適」マネジメントの帯のクエスチョン
あなたの会社は部分最適に陥っていませんか?
・経営計画を作っても十分実行されない
・部署間が協力し合わない、対立することがある
・仕組みやルールを採り入れても形骸化することがある
・無駄に思える会議やミーティングが多い
・社員に自立性や主体性がない
1つでもあてはまるなら「全体最適化」が必要です。
「うちの会社やん・・・・・・・・」
「5つとも当てはまってるし・・・・・」
ということで即購入しました。
全体最適化というのは、「森全体でみよ」あるいは「全体観」でとらえることの重要性を言っています。
全体最適に対して「部分最適」という言葉も多用されますが、本書では「部分最適」を会社の方針、人、組織、仕組み、システムなどあらゆる経営資源が限られた範囲や部分では最適であるが、会社全体として見ればなんら貢献せず、不最適である。もしくは悪い影響を及ぼすこと」と定義されています。
本書では様々な企業の例があり、始めの内は、
「そうそう、うちの会社と一緒!」
「どこの会社も同じ悩みを抱えているのね~」
という感覚で面白いようにすいすい読めてしまいます。
企業が抱える問題の主な項目として以下の6点です。
1.ビジョンなどの方針・方向性にかんするもの
2.戦略や戦術的なもの
3.業務の流れや仕組みの問題
4.組織体制に関する者
5.評価の仕組みや人材育成制度など人に関すること
6.コミュニケーションや人間関係に関するもの
第3章までは、各企業の問題について様々なことが書いてありますが、本書の大切な部分は第4章からにあります。
いかに全体最適化を行っていくか。
「ビジョンを伝えること」
本書で筆者はこの「ビジョン浸透」が肝心要であるということが随所で感じられます。
ビジョンー人ー仕組みをつなぐことで全体最適化が初めて実行可能となるということです。
指示系統の一つとしてトップダウン方式があります。
上司が直接、部下に指示命令を下すというものです。
あまり、肯定的とされない言葉ではありますが、業績が伸びる企業は正しいトップダウンを行っていると筆者は言います。
トップダウンを日本語で表すと「上意下達」
本来の意味は上位者の命令や指示、言葉などを下位者へと伝えて、意思の疎通を図ることえお言っています。
上位にいる者がやろうとしていることの意味をしっかりと下位のものに伝えること。
これが経営者として最も重要だと言っています。
そして次に、その経営者の意思をどうつなぐかということで「経営企画部」という役割について触れられています。
一般的に何をしている部署なのかがわかりにくい部署ではありながら、今後の会社について熱をもったメンバーを集めて「経営企画部」が組織をつないでいくという解決案が書かれています。
まだ、企業の中に経営企画部がない場合は、本当に経営者を支えようというメンバーが立ち上がって創設する以外はないと思います。
中小企業で世代交代が一つの課題となっている企業であれば、管理職のメンバーが率先して、まずは立ち上げてみる。
当然、今行っている業務と平行して「経営企画部」としても活動を行っていくわけですので、ものすごくハードになります。しかし、そこまで会社のことを考えて行動できる経営企画部のメンバーであれば、次期経営者としての資格も十分にあるものだと思います。
同じようなことを筆者も読者に伝えています。
第5章では具体的な最適化のための行動について書かれていますが、感想としては、やはり「ビジョン浸透」に尽きるなということです。
どのようにコミュニケーションをとっていくか、現場はどのような視点で経営陣をみているか、など書かれていますが。明確なビジョンをトップが掲げ、ベクトルをそろえた上で、経営者と管理職の意思をどうつなぐか。
それぞれの想いが一致しなくとも、方向性が揃うだけで企業として相当な活性化が図れます。
まずは、本書を読んで自分の会社の「ビジョン」とは何かを問うてみて、そして、自分自身のことについても考えることをお勧めします。
「自分はこの会社で何を成し遂げたいか」
「自分の力でこの会社をどうしていきたいか」
この一人ひとりの力、マインドがすべての企業を幸せにしてくれます。